読書ノート016 イシューからはじめよ

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1 本書を手にとった動機

 生きていていれば、大なり小なりなんらかの問題にいつでもあたってます。それだけ日常的に繰り返される問題解決の思考ですが、その施工方法について学ぶことは殆どありません。みんななんとなく経験的にやっているのですが、それが本当に適切で効率的な方法なのか、よくわかりません。そんな問題解決の思考について学んでみようと思い「イシューからはじめよ」を読むことにしました。


2 得られた気付き

 そもそもイシューとは何か?英語のissueは、問題と訳されます。イシューからはじめよというのは、問題を解き始める前に、まずどんな問題を解くべきかを考えよ、ということです。それが重要な理由が二つあります。


 まず第一に、目的を明確に定めないと、検討がブレるからです。そもそもこの検討は何を目的にしており、どんな問題に対して答えを求めたいのか?そしてその答えを出すのに必要な調査や分析を行う。言うのは簡単ですが、目的が曖昧なままだと、さんざん時間をかけて調査、分析をしたところ、ほとんど役にも立たない結果が出てきて終わり、ということにもなりかねません。


 第二に、本当に解く価値(バリュー)のある問題は多くはないからです。限りある時間を有効に使いたければ、バリューのない問題にあたっている時間はありません。バリューのある問題にのみ集中して取り組み、ほかは敢えて捨てることで、生産性を高める事ができるのです。
 では、バリューのある仕事とは何でしょうか?横軸を「イシュー度」、縦軸を「解の質」としたときに、その両方が高い仕事がバリューのある仕事です。「イシュー度」とは、答えを出す必要性の高さ、「解の質」とは、「明確に答えが出せるかの度合い」です。つまり、答えを出す必要が高くて、明確に答えが出せる問題がバリューのある仕事というわけです。逆に、明確な答えが出ない問題や、答えが出たところで大して役に立たないような問題は、バリューがないのです。


 私達は目の前に問題が山積みだと、全部片付けなければと思い、手当り次第片付けていこうとして疲弊し、結局全然捌けなかったりします。これでは生産性の高い仕事はできません。そんな事にならないように、本当に大事な問題だけに集中し、ブレずに検討をすすめるためにも、まずイシューを徹底的に考え抜く事が重要なのです。


 振り返ってみると、私自身も、私の周りでも、ひどく非効率な仕事をしていたなと思います。目的をよく考えもせずに、目の前にデータがあるから、手を動かして分析をしてみる。時間と労力をかけて調査や分析をしてみたものの、「それで?」となって、結局役に立たなかったこと。いくつも思い当たります・・・


 ここまで、イシューからはじめることの重要性についての気付きを書いてきましたが、本書ではこの後に、イシューを見極め、仮説を立ててストーリーを組み立て、分析のイメージを作り、実際に分析を進め、メッセージを伝える方法なども書かれています。気になる方はぜひ読んでみてください。

 
3 TO DO

 私自身、バリューのない問題に時間や労力を使ってしまっていたことはたくさんあります。そのためにやることが爆発して、いっぱいいっぱいで辛い思いをしたこともあります。これからは、いきなり問題を解き始めるのではなく、時間をとって問題を整理し、バリューのある問題を見極めて集中的に取り組みたいと思います。そのためのコツは本書にも書かれてはいましたが、読めば明日からすぐ実践できる、というものでもなく、経験が必要なようです。ですからまずは、イシューを見極める時間をとる、というところから始め、その見極めのレベルアップは少しずつ経験を積んでやっていきたいと思います。


 また、イシューを特定した後は、ストーリーラインの組み立てです。今までの私は、問題を目の前にするととりあえずやってみよう、という感じでしたので、事前にストーリーラインを組み立てることはやったことがありません。そのため、余分で意味のない分析に時間を取られることも少なくありませんでした。今後はしっかり仮説を立て、ストーリーラインを組み立ててから分析に取り掛かろうと思います。