読書ノート017 Time Smart お金と時間の科学

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1 本書を手にとった動機

時間に投資せよ!
タイム・イズ・マネーではなく、マネー・イズ・タイムだ。
 
 今回は、「Time Smart お金と時間の科学」(アシュリー・ウィランズ著)を読了しました。「お金と時間、どっちが大事?」という問いに答えてくれる本です。人生を幸せに生きるための大事な考え方を学べる本です。私自身も、これからの人生、より幸せに生きることを考えるために、本書を読んでみました。タイトルから分かる通り、本書の主張は時間こそ重要というものですが、皆さんはどうお考えでしょうか?
 

2 得られた気付き

2.1.時間優先の重要性

 時間優先の考え方は、自分の幸福感を増すばかりでなく、地域社会、世界全体の幸せに貢献する、と著者は言います。時間を優先することで、他者を助ける立場に立つことができるし、仕事の生産性も増します。時間優先というと、なんだ他人をないがしろにして自分の時間だけを追い求める利己的な人間のように感じるかもしれませんが、決してそんなことはないということです。
 
 時間を優先するほうが幸福感が増すという研究を二つご紹介しましょう。
 
 一つ目は、学生を対象にした研究です。卒業間近の学生1000人以上に対して、時間とお金のどちらを優先するかを質問し、人生の満足感と日々の幸福感についても質問しました。そして2年後に、幸せに関する同じ質問をもう一度行ったのです。すると、時間を優先する学生の方が2年後には幸福感が高かったのです。
 
 二つ目は、仕事の報酬に関する研究です。育休やフレックスタイムなどのような時間に関する恩恵をもらうのと、給料を多くもらうのではどちらが仕事の満足度が高いかということを調査したものです。結果として、時間に関する恩恵は、年収4万8000ドルの人にとって、3万8000ドル多くもらう以上に、仕事の満足度を高めました。79%もの昇給に匹敵するほどの満足感が得られたということです。
 
 ちなみに本書では、年収4万8000ドルの人に限らず、ギリギリの予算で生活をしている人でさえ、時間に投資するべきだと述べられています。
 

2.2.時間を優先を妨げる罠

 本書では、時間優先の考えを妨げるタイム・トラップ、時間に投資するためのステップ、時間優先になるための習慣、長期展望、社会システム変更などについて書かれています。ここでは、タイム・トラップの一部だけを紹介します。
 
 これは私の感覚ですが、そもそも、お金より時間が大事だと思っている人は、結構多いのではないかと思います。
 
 私も本書を読む前からそうだったはずです。しかし、実際過去の選択や行動を振り返ってみると、時間優先を実践できていなかった場面は多くありました。
 
 やたらと残業したり、休日に仕事をしたりもしていました。仕事が大好きでそうしているのなら別にいいのでしょうが、そういうわけでもありませんでした。後は、ネット通販で最安値を探すのに数十分費やして、数百円程度を浮かしたりもしてました。
 
 このように、いつの間にか時間を優先しなくなっているのです。これがタイム・トラップの恐ろしさです。私の例でいうと、「時間の過小評価」と、「ステータスとしての多忙」、「手持無沙汰嫌悪」のトラップにハマっています。
 
 「時間の過小評価」は、ネット通販で最安値を探しているときのことで、お金の最安値を探し求めることに意識が向いてしまって、それにかけるタイムコストを見ていないような状態です。ついこうなってしまうのは、時間の価値を測るのが難しいためです。お金は「何円節約できた」と明確に価値が測れるだけに、そっちに意識が持っていかれてしまうのです。
 
 「ステータスとしての多忙」は、多忙が名誉の印であるかのように感じることです。現代では、仕事がアイデンティティの中心に据えられる「ワーキズム」という考え方が盛んになっています。仕事で忙しくしていることがステータスとして感じられるために、仕事に多くの時間を費やすのです。
 
 私もこれには強烈にハマっていました。なんだか人より早く退社してはいけないような感覚がありました。特に上司より早く帰ってはダメだ、というふうな思い込みにハマっている人は、私以外にも結構多いのではないでしょうか?
 
 「手持無沙汰嫌悪」は、なんにもしない時間に嫌悪感を感じるということです。実際は、手持無沙汰の時間は価値ある余暇の形態なのです。別に何もしなくてリラックスしていればいい時間というのは、大事なものです。
 
 私の場合、遅くまで残業したり、有給を積極的に取らなかったのはこのトラップにハマっていたためです。「別に帰ってもやることないし」「有給とっても家で寝てるだけだし」と思っていたんです。かと言って仕事が大好きだったわけでもないのに、手持無沙汰になるよりはという考えで、冴えない顔をしながらも働いていたのです。
 

3 TO DO

 時間というのはお金と違って、「使わない」ということができず、何をしていようが勝手に流れていくものですし、自分にどれだけの時間が残されているのかを誰も知りません。そんな貴重な時間をもっと大事にすべきだと改めて感じました。
 
 しかし、数々のタイム・トラップのために、常に時間優先の選択をし続けることは簡単ではありません。専門家である著者自身もそうみたいです。
 
 だからまず、「時間優先」と書いた紙を目のつくところに貼る、パソコンのデスクトップにも「時間優先」と表示する。ということをやり始めました。いつの間にか罠にハマっていたときに、ふと目に入り、思い出させてくれることを期待しています。
 
 もう一つは、浮いた時間をどう使うかを決めることです。得られた時間をどう使うかが決まっていなければ、時間を優先しようなんて思わないのではないかと思います。
 
 浮いた時間で何気なくYoutubeを見たりするのではもったいないです。見たいと思う動画を心から楽しんで見るならいいのですが、だらだらおすすめ動画を見るのは無駄だと感じます。でも他に特にすることもないとなるとやってしまうんですよね。
 
 だから時間ができたら○○をやる、というのを予めいくつか用意しておくのです。
 
 最後に、毎週1回、1週間の計画を立てることと、振り返りをすることです。どれだけ時間優先の選択を実践できたか、PDCAサイクルを回して確認します。どういうときにタイム・トラップにハマりやすいか、自分の弱点もだんだん見えてくるでしょうから、そこに対策を取っていけば、有意義な時間の使い方を習慣づけることができると思います。