読書ノート019 大事なことに集中する

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1 本書を手にとった動機

 成果を最大化する働き方=費やした時間×集中度
 
 どうせやるなら最大の効率でやりたいと思います。そのほうが、大きな成果を出すことも、短時間で必要なことを終わらせて余暇を楽しむこともできます。そのためには、気が散るものに注意を奪われず、大事なことに集中することが重要だと思います。とはいえ、気が散るものが多い現代で、大事なことに集中することはなかなか難しいのが実情です。そんな私は、「大事なことに集中する 気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法」(カル・ニューポート)にヒントを求めて読んでみました。
 

2 得られた気付き

 本書では、「ディープ・ワーク」の重要性と、それを実行するための戦略が述べられています。
 
 「ディープ・ワーク」とは著者が作った言葉で、認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動、と定義されています。歴史上で影響力のあった成果も、現代の優れた業績もディープ・ワークから生まれたといいます。
 

2.1.ディープ・ワークの重要性

 例えば、カール・ユング精神分析医)は、田舎に隠れ家を建て、時折そこにこもって思索や執筆に集中し、20世紀で最も影響力のある思想家と言われるようになりました。マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツも、年に二度「Thinking Week」を設け、引きこもって本を読んだり、大きな構想を練ったりしています。
 
 ほんの一部の例を挙げましたが、大きな成果の陰にはディープ・ワークがあるのです。特に、知的労働には重要なことです。私自身はもともと集中することの重要さを支持していますが、皆さんはどうお感じでしょうか?
 

2.2.シャロー・ワークがあふれる現代

 現代の知的労働者は、注意散漫で、長時間中断されないで思考することが必要なディープ・ワークをほとんど行うことができないといいます。それは別に怠けているわけではなくて、現代はディープ・ワークの反対の「シャロー・ワーク」でいっぱいだからです。
 
 代表的なのがたえず行われるメールのやり取りです。メールが来るたびに即座に読み、返信するのが当然になっていると、しょっちゅう思考が中断されます。
 
 そして、現代にディープ・ワークが必要な理由を二つ述べています。
 
 一つは、習得。急速に変化する現代では新しい、複雑なことを素早く習得することが不可欠になってきています。
 
 もう一つは、ありふれたものではない、有用なものを作り出す必要性が高まっていることです。世界中がネットワークで繋がっている今、消費者はどこにでもアクセス可能であり、ありふれたものでは不利になります。
 

2.3.ディープ・ワークの実践戦略

 本書では18個の戦略が記されていますが、ここではその中からほんの一部だけを紹介します。
 

2.3.1.「80対20の法則」を適用する

 多くの場合、結果の80%は、考えられる原因のわずか20%から生まれている。効果の高い20%の部分に時間を費やしたほうがいいということです。この法則は有名なので、聞いたことがある方もいると思いますが、実行できているかというと・・・
 
 私達は、(たとえ小さくても)何かしらのメリットがあれば、その取組をやめることが難しいと感じます。著者はこの「何らかのメリットがあればいい」という思考を捨てよといいます。
 
 そして「職人的方法」を勧めています。これは、大事なことに対するマイナスの影響を上回る、プラスの影響を与えることを選ぶ、ということです。たとえプラスの影響があったとしても、それは大事なことを犠牲にしているかもしれません。その両面を考えて選択せよというわけです。
 
 時間は有限、私達の集中力も有限です。本当に大事なことを見極めて、そこにリソースを投下しましょう!ただそのためには、「何が本当に大事なことなのか?」を見極めることが不可欠です。それが案外難しい。とはいえ、私達は何となく「何らかのメリットがあればいい」思考にハマっている恐れがあります。意識的に職人的方法で考え、癖をつけていくことは大事だなと思います。
 

2.3.2.無駄なシャロー・ワークに「ノー」と言う

 全てのシャロー・ワークをなくすことはできないし、そもそも私達の集中力は、1日の全てをディープ・ワークに充てられる程にはリッチではありません。シャロー・ワークをなくすのではなく、ディープ・ワークとシャロー・ワークの割合を決めてそれを守る事が重要です。多くの場合、それは30~50%になるといいます。その割合を守るためには、シャロー・ワークでいっぱいになりそうなプロジェクトに「ノー」と言わなければなりません。
 
 シャロー・ワークの割当量の決定には、上司との相談が不可欠です。あるプロジェクトに「ノー」と言い、ディープ・ワークに時間をとる戦略は、職場の了解がないとできません。自分がシャロー・ワークに費やしている時間の実績を測定し、上司と相談しましょう。
 
 というのが、本書の中での主張ですが、ディープ・ワークの重要性を理解している上司ばかりではないというのが現実かなと思います。それがよく理解されているのであれば、シャロー・ワークはすでにもっと減っているでしょう。メールやチャットにすぐ返信することを求めたり、とにかくいろんなプロジェクトに首を突っ込むことを良しとする人も多いと思います。私も昔、自分の仕事に集中するために他のことをあえて排除しようとすると、「好奇心がない」と言われ叱られたことがあります・・・ディープ・ワークで大きな実績を作らないと、納得してもらいづらいかもしれません。
 

3 TO DO

 大事なことに集中することの価値はよく理解できました。それを実行するための戦略も参考になりました。
 
 そもそも自分にとって大事なことって何なのか、ここが明らかにならないとどうにもならないなと思いました。そのためには、自己理解を深める必要があると思います。就活のときに何となくやった自己分析ではたりません。やはり現代は深く自分を知ることの価値がますます高まっているんだなと再認識しました。
 
 そして、「80対20の法則」。これはぜひとも適用したいと思います。そのためには、行っている取り組みの中で、何が重要な20%で何が残りの80%なのかを見極める必要があります。つまり、やっている取り組みと成果の関係を測定しなければなりません。頑張るのはいいけど、頑張った結果成果につながっているのか、それを測定する方法を考えながら取り組まないと、重要な20%を見極めることはできません。成果の測定ってあまり意識していませんでしたが、今後は結果を測り、振り返りながら、重要なことを見極めて、そこに集中していきたいと思います。

読書ノート017 Time Smart お金と時間の科学

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1 本書を手にとった動機

時間に投資せよ!
タイム・イズ・マネーではなく、マネー・イズ・タイムだ。
 
 今回は、「Time Smart お金と時間の科学」(アシュリー・ウィランズ著)を読了しました。「お金と時間、どっちが大事?」という問いに答えてくれる本です。人生を幸せに生きるための大事な考え方を学べる本です。私自身も、これからの人生、より幸せに生きることを考えるために、本書を読んでみました。タイトルから分かる通り、本書の主張は時間こそ重要というものですが、皆さんはどうお考えでしょうか?
 

2 得られた気付き

2.1.時間優先の重要性

 時間優先の考え方は、自分の幸福感を増すばかりでなく、地域社会、世界全体の幸せに貢献する、と著者は言います。時間を優先することで、他者を助ける立場に立つことができるし、仕事の生産性も増します。時間優先というと、なんだ他人をないがしろにして自分の時間だけを追い求める利己的な人間のように感じるかもしれませんが、決してそんなことはないということです。
 
 時間を優先するほうが幸福感が増すという研究を二つご紹介しましょう。
 
 一つ目は、学生を対象にした研究です。卒業間近の学生1000人以上に対して、時間とお金のどちらを優先するかを質問し、人生の満足感と日々の幸福感についても質問しました。そして2年後に、幸せに関する同じ質問をもう一度行ったのです。すると、時間を優先する学生の方が2年後には幸福感が高かったのです。
 
 二つ目は、仕事の報酬に関する研究です。育休やフレックスタイムなどのような時間に関する恩恵をもらうのと、給料を多くもらうのではどちらが仕事の満足度が高いかということを調査したものです。結果として、時間に関する恩恵は、年収4万8000ドルの人にとって、3万8000ドル多くもらう以上に、仕事の満足度を高めました。79%もの昇給に匹敵するほどの満足感が得られたということです。
 
 ちなみに本書では、年収4万8000ドルの人に限らず、ギリギリの予算で生活をしている人でさえ、時間に投資するべきだと述べられています。
 

2.2.時間を優先を妨げる罠

 本書では、時間優先の考えを妨げるタイム・トラップ、時間に投資するためのステップ、時間優先になるための習慣、長期展望、社会システム変更などについて書かれています。ここでは、タイム・トラップの一部だけを紹介します。
 
 これは私の感覚ですが、そもそも、お金より時間が大事だと思っている人は、結構多いのではないかと思います。
 
 私も本書を読む前からそうだったはずです。しかし、実際過去の選択や行動を振り返ってみると、時間優先を実践できていなかった場面は多くありました。
 
 やたらと残業したり、休日に仕事をしたりもしていました。仕事が大好きでそうしているのなら別にいいのでしょうが、そういうわけでもありませんでした。後は、ネット通販で最安値を探すのに数十分費やして、数百円程度を浮かしたりもしてました。
 
 このように、いつの間にか時間を優先しなくなっているのです。これがタイム・トラップの恐ろしさです。私の例でいうと、「時間の過小評価」と、「ステータスとしての多忙」、「手持無沙汰嫌悪」のトラップにハマっています。
 
 「時間の過小評価」は、ネット通販で最安値を探しているときのことで、お金の最安値を探し求めることに意識が向いてしまって、それにかけるタイムコストを見ていないような状態です。ついこうなってしまうのは、時間の価値を測るのが難しいためです。お金は「何円節約できた」と明確に価値が測れるだけに、そっちに意識が持っていかれてしまうのです。
 
 「ステータスとしての多忙」は、多忙が名誉の印であるかのように感じることです。現代では、仕事がアイデンティティの中心に据えられる「ワーキズム」という考え方が盛んになっています。仕事で忙しくしていることがステータスとして感じられるために、仕事に多くの時間を費やすのです。
 
 私もこれには強烈にハマっていました。なんだか人より早く退社してはいけないような感覚がありました。特に上司より早く帰ってはダメだ、というふうな思い込みにハマっている人は、私以外にも結構多いのではないでしょうか?
 
 「手持無沙汰嫌悪」は、なんにもしない時間に嫌悪感を感じるということです。実際は、手持無沙汰の時間は価値ある余暇の形態なのです。別に何もしなくてリラックスしていればいい時間というのは、大事なものです。
 
 私の場合、遅くまで残業したり、有給を積極的に取らなかったのはこのトラップにハマっていたためです。「別に帰ってもやることないし」「有給とっても家で寝てるだけだし」と思っていたんです。かと言って仕事が大好きだったわけでもないのに、手持無沙汰になるよりはという考えで、冴えない顔をしながらも働いていたのです。
 

3 TO DO

 時間というのはお金と違って、「使わない」ということができず、何をしていようが勝手に流れていくものですし、自分にどれだけの時間が残されているのかを誰も知りません。そんな貴重な時間をもっと大事にすべきだと改めて感じました。
 
 しかし、数々のタイム・トラップのために、常に時間優先の選択をし続けることは簡単ではありません。専門家である著者自身もそうみたいです。
 
 だからまず、「時間優先」と書いた紙を目のつくところに貼る、パソコンのデスクトップにも「時間優先」と表示する。ということをやり始めました。いつの間にか罠にハマっていたときに、ふと目に入り、思い出させてくれることを期待しています。
 
 もう一つは、浮いた時間をどう使うかを決めることです。得られた時間をどう使うかが決まっていなければ、時間を優先しようなんて思わないのではないかと思います。
 
 浮いた時間で何気なくYoutubeを見たりするのではもったいないです。見たいと思う動画を心から楽しんで見るならいいのですが、だらだらおすすめ動画を見るのは無駄だと感じます。でも他に特にすることもないとなるとやってしまうんですよね。
 
 だから時間ができたら○○をやる、というのを予めいくつか用意しておくのです。
 
 最後に、毎週1回、1週間の計画を立てることと、振り返りをすることです。どれだけ時間優先の選択を実践できたか、PDCAサイクルを回して確認します。どういうときにタイム・トラップにハマりやすいか、自分の弱点もだんだん見えてくるでしょうから、そこに対策を取っていけば、有意義な時間の使い方を習慣づけることができると思います。

読書ノート016 イシューからはじめよ

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1 本書を手にとった動機

 生きていていれば、大なり小なりなんらかの問題にいつでもあたってます。それだけ日常的に繰り返される問題解決の思考ですが、その施工方法について学ぶことは殆どありません。みんななんとなく経験的にやっているのですが、それが本当に適切で効率的な方法なのか、よくわかりません。そんな問題解決の思考について学んでみようと思い「イシューからはじめよ」を読むことにしました。


2 得られた気付き

 そもそもイシューとは何か?英語のissueは、問題と訳されます。イシューからはじめよというのは、問題を解き始める前に、まずどんな問題を解くべきかを考えよ、ということです。それが重要な理由が二つあります。


 まず第一に、目的を明確に定めないと、検討がブレるからです。そもそもこの検討は何を目的にしており、どんな問題に対して答えを求めたいのか?そしてその答えを出すのに必要な調査や分析を行う。言うのは簡単ですが、目的が曖昧なままだと、さんざん時間をかけて調査、分析をしたところ、ほとんど役にも立たない結果が出てきて終わり、ということにもなりかねません。


 第二に、本当に解く価値(バリュー)のある問題は多くはないからです。限りある時間を有効に使いたければ、バリューのない問題にあたっている時間はありません。バリューのある問題にのみ集中して取り組み、ほかは敢えて捨てることで、生産性を高める事ができるのです。
 では、バリューのある仕事とは何でしょうか?横軸を「イシュー度」、縦軸を「解の質」としたときに、その両方が高い仕事がバリューのある仕事です。「イシュー度」とは、答えを出す必要性の高さ、「解の質」とは、「明確に答えが出せるかの度合い」です。つまり、答えを出す必要が高くて、明確に答えが出せる問題がバリューのある仕事というわけです。逆に、明確な答えが出ない問題や、答えが出たところで大して役に立たないような問題は、バリューがないのです。


 私達は目の前に問題が山積みだと、全部片付けなければと思い、手当り次第片付けていこうとして疲弊し、結局全然捌けなかったりします。これでは生産性の高い仕事はできません。そんな事にならないように、本当に大事な問題だけに集中し、ブレずに検討をすすめるためにも、まずイシューを徹底的に考え抜く事が重要なのです。


 振り返ってみると、私自身も、私の周りでも、ひどく非効率な仕事をしていたなと思います。目的をよく考えもせずに、目の前にデータがあるから、手を動かして分析をしてみる。時間と労力をかけて調査や分析をしてみたものの、「それで?」となって、結局役に立たなかったこと。いくつも思い当たります・・・


 ここまで、イシューからはじめることの重要性についての気付きを書いてきましたが、本書ではこの後に、イシューを見極め、仮説を立ててストーリーを組み立て、分析のイメージを作り、実際に分析を進め、メッセージを伝える方法なども書かれています。気になる方はぜひ読んでみてください。

 
3 TO DO

 私自身、バリューのない問題に時間や労力を使ってしまっていたことはたくさんあります。そのためにやることが爆発して、いっぱいいっぱいで辛い思いをしたこともあります。これからは、いきなり問題を解き始めるのではなく、時間をとって問題を整理し、バリューのある問題を見極めて集中的に取り組みたいと思います。そのためのコツは本書にも書かれてはいましたが、読めば明日からすぐ実践できる、というものでもなく、経験が必要なようです。ですからまずは、イシューを見極める時間をとる、というところから始め、その見極めのレベルアップは少しずつ経験を積んでやっていきたいと思います。


 また、イシューを特定した後は、ストーリーラインの組み立てです。今までの私は、問題を目の前にするととりあえずやってみよう、という感じでしたので、事前にストーリーラインを組み立てることはやったことがありません。そのため、余分で意味のない分析に時間を取られることも少なくありませんでした。今後はしっかり仮説を立て、ストーリーラインを組み立ててから分析に取り掛かろうと思います。

 



読書ノート015 アナタはなぜチェックリストを使わないのか

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1 本書を手にとった動機

 「今さらチェックリスト?」と思ってしまうくらい、シンプルでよく知られたツールです。しかし考えてみれば、あまり積極的には使ってこなかったなと思います。そんなチェックリストの有効性や作るコツについて書かれているのが「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?~重大な局面で"正しい決断"をする方法」(アトゥール・ガワンデ)です。私もいろんな決断をもう少しシステマティックにできないかなと思い、本書を読んでみることにしました。
 

2 得られた気付き

 本書では、様々な分野でのチェックリストの有効性を示す事例が示されています。医療、爆撃機パイロット、高層ビル建築、災害対応、投資・・・
 
 なぜチェックリストが必要なのかというと、「複雑すぎる」ことがポイントとなります。そもそも失敗の原因は2つだけだ、といいます。「無知」と「無能」です。近年、科学の発達により、「無知」と「無能」のバランスが変わってきており、「無能」が重要な問題となってきています。「無能」とは、知識はあるのにそれを正しく活用できていないということです。確かに現代は情報にあふれており、インターネットを使えばかなりの知識にアクセスすることは可能です。その分、複雑となった知識を、必要なときに正しく使うということが難しくなってきています。
 
 例えば医療現場のように、病気、症状、処置の種類も膨大で、患者の個人差まである複雑な現場では、その複雑な問題に対処するのに脳のリソースをフル活用するので、単純な手順を間違いなく行うということにまでリソースを割くのが難しいのです。だから単純な行為を間違えないことはチェックリストに任せて、複雑な問題への対処に頭をフル活用するのです。
 
 チェックリストってシンプルですが、本当に有効なものを作るのは結構難しいものです。シンプルで明確なものでなければ使えません。(この辺は、前記事の「Simple Rules」にも通ずるところがあります。)マニュアルではないので、細かい手順を網羅するのではなく、重要なポイントに絞る必要があります。あまりに詳細なチェックリストは、読むだけでも時間がかかって日常使いに向きません。何を書いて何を書かないか、この選別が非常に重要で、試行錯誤がいるところなのです。ですが、そうやってできたチェックリストを使うことで、病院での研究では、深刻な合併症の発生率が36%も下がったという結果も出ています。
 

3 TO DO

 医療などのような複雑な現場でのチェックリスト活用事例が紹介されていましたが、個人レベルではそこまで複雑な問題を扱うことは、まずないかなと思います。
 
 とはいえ、日常でもチェックリスト化すると良さそうな場面は十分あると思います。例えば私は、毎日To Doリストのようなものを作っていますし、家を出る時のチェックリスト(照明OFF、エアコンOFF、窓の戸締まり等)を部屋の壁に貼っています。
 
 些細なうっかりミスした経験は誰だってありますよね。「忘れないようにしよう」と思ってもたいてい対策にはならないものです。それに、脳のエネルギーだって有限なので、そういうことを覚えておくのに使ってしまうよりも、チェックリストにでもしてしまって、もっと生産的なことに脳を使うほうが得だと思います。「ミスを無くすため」だけではなくて「脳のリソースをもっと重要なことに使うため」にチェックリストを使うというわけです。
 
 日常でよくあるのは、「やろうと思っていたけど忘れた」「買おうと思っていたのに忘れた」ということなので、思いついたらすぐメモ、という癖をつけていこうかなと思いました。
 
 あとは投資判断ですかね。一般的に投資判断は感情に左右されて間違ってしまうことも多いので、どうなったら買う、売るというのを自分なりのルールにしてしまうのも有効かと思います。冷静なうちに、そういうチェックリストを作っておくのです。

読書ノート014 Simple Rules

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1 本書を手にとった動機

 組織のルール、自分個人のルール等、世の中にはたくさんのルールがあります。私は組織のルールを作る立場にはないので、特に自分個人のルールの方に関心があります。

 自分の行動や決断の基準のルールを明確にしておけば、感情に流されて誤った判断をしたり、悩まなくていいことをグダグダ悩んだりすることをなくせるのではないかと思います。例えば、インデックス投資などで長期目線で資産運用をするときは、短期的な株価の変動に一喜一憂せず、淡々とルール(毎月一定額の積立、定期的なリバランスなど)に従うのがいいと言われたりしますね。

 投資に限らず、日常の行動や判断における自分ルールを作る参考にしたいと思い、「SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える」を読んでみました。

2 得られた気付き

 タイトルの通り、本書の主張はルールはシンプルな方がいいというものです。例えば緊急時の医療現場で行われるトリアージは、シンプルで強力なルールの典型例です。傷病者を4つのカテゴリーに分類し、治療の優先順位を素早くつけることで、限られた医療資源で多くの命を救えるようになったのです。シンプルであれば、時間や情報が限られていても迅速で性格な決断が下せます。また、大人数でも混乱なくアクションが取れます。逆に複雑で難解なルールは把握しきれませんよね。

 シンプルな方がいいのはわかりますが、単純で簡単なルールを作りさえすればそれでいいということなのでしょうか?本書で言う「シンプル」というのは実はそういうことではありません。いくら単純でわかりやすいルールでも、状況に合わなかったり、誤った決断を引き起こすものであったら意味がありません。「シンプル」なルールというのは、無駄を削ぎ落として本質だけをうまく抽出した洗練されたルールなのです。ですから、「シンプル」なルールを作るのは簡単ではなく、時間もかかるのです。

 一般的に、最初期に作ったルールでは対応できない事象に直面することになることが少なくありません。そこで必要なルールを適宜追加していくことになりますが、そうすると徐々に複雑なルールができてきます。そのルールを運用し続けていく内に、だんだん無駄が見えてきます。そこで無駄を削ぎ落としていくのです。

 私の経験上、組織というのはルールを追加するよりも削除することが難しいのです。過去に意図を持って作られたはずのルールですから、どうしてもそれを削除することに慎重になりすぎてしまうのです。その結果、どんどんルールが増えてわかりづらくなっていきます。私も会社で、これ無駄じゃない?と思うルールに出会ったことは何度かあります。国の税金や年金の制度なんかも無駄に複雑な気がすることがあります。

 シンプルなルールを作るのは一朝一夕でできることではありません。何が無駄で何が本質なのかをしっかり見極めることと、無駄を削除する思い切りが必要なのです。

3 TO DO

 自分の行動や決断を効率的にするためにシンプルな自分ルールを作っていきたいところですが、なかなか簡単には行かないようです。ですから、PDCAサイクルを回して改善してくしかないと思います。とりあえず仮にでもルールを決めて、定期的に振り返って改善していきます。そのときに、ルールを複雑にして細かい事象に対応できるようにするのではなく、より本質的な洗練されたルールを作ることを心がけていきます。まずはやってみることです。トライアル&エラーです。

読書ノート013 いつも「時間がない」あなたに

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1 本書を手にとった動機

 時間がないというのは本当に強烈なストレスですよね。私も山積みの仕事と迫る締切の連続に追われて、日々ストレスで胃が痛かったし、毎日が楽しくなかったことが何度もあります。なんとかしたいけど、なんとかするための時間もない・・・
 
 そんな悲惨なことを繰り返すまいと思うけど気がついたらまた時間に追われてるんですよ。今度こそなんとか時間がない状態とおさらばしたいと思って「いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学」を読んでみました。
 

2 得られた気付き

 欠乏とういのは恐ろしいものです。時間が足りない、お金が足りない、愛が足りない。世の中いろんな欠乏がありますが、欠乏状態にいるひとは狭いトンネルの中にいるがごとく、欠乏しているものへばかり注意が集中し、周りが見えなくなってしまいます。目の前の欠乏を何とかすることに囚われて、長期的な視点も持てなくなってしまいます。欠乏は人の処理能力不足を引き起こし、行動のあらゆる面に影響します。
 
 私にも時間がないという感覚に襲われて、近視眼的になってしまっていた経験は思い当たることがあります。とにかく目の前の作業を片付けなければということだけを考えていたために、本来そこまで力を入れなくても良かった仕事に時間を割いてしまっていたり、やっつけ仕事になって手戻りが発生したりと、今思えば非効率極まりないやり方でした。冷静になればそれがわかるのですが、欠乏の罠がそれを妨げるのです。一度時間をとってタスクを整理すれば防げたかもしれませんが、時間がないという感覚のせいで、そういう”余計な”時間を使うことなど考えも及ばないんです。
 
 生産性をあげようと思って、スケジュールを綿密に組み、隙間を埋めるように詰め込んだことはありませんか?時間を有効に使うことにばかり意識が向くと、こういうことをしてしまいやすいのです。しかし、もう一つ私達が気を配るべきことがあります。それが処理能力です。私達の脳がしっかり働き、集中力を発揮したり、適切な意思決定ができる状態を保つことにも注意するべきなのです。そのためには、余裕が必要なのです。スケジュールに空白を作っておくことで、時間に追われる感覚から開放されます。
 
 時間をフルに使い切りたいと思っていると、そういう余裕を持っておくことは、なんだか無駄や贅沢のような気になるかもしれません。ですが、脳の処理能力を奪わないためには、こうした余裕が必要で、結果的にはそのほうが生産性は上がるのです。実際、ヘンリー・フォードが工場労働者の勤務時間に制限を設けた結果、労働者の総生産量は増え、生産コストが下がったと言われています。
 
 時間がないという感覚が私達の生産性を下げているのです。余裕を持っておくことは決してサボリではなく、最高のパフォーマンスを発揮するために必要なことなのです。
 

3 TO DO

 私は毎晩、翌日の作業計画を立てるのですが、本書を読んで以降、スケジュールに余白を多めに作るようにしました。やりたいことは本当はもっとあるのですが、あえて少数に絞るのです。思い返してみれば、ギチギチにやりたいことを詰め込んでいた時も、毎日それらをちゃんと達成できていたわけではありません。「今日はあれが達成できなかった・・・」と反省する日も多かったです。しかしスケジュールの余白を増やすようにしてからは、「今日は予定通り達成できた!」「今日は予定になかった作業まで達成できた!」と前向きになれる日がかなり増えました!また、不思議なことに時間に追われているときほどやる気が出ずサボりたくなっていましたが、余裕を作っておくとテキパキと行動を起こしやすくもなりました!
 
 また、別の本で書かれていたことですが、時間に追われる感覚を脱するためには、他者のために時間をつかうことや、大自然などへの畏怖が有効だそうです。こうしたことも取り入れながら、自分には時間があるという感覚をもって仕事等に取り組んでいこうと思います!

読書ノート012 スーパーベターになろう

1 本書を手にとった動機

 人生楽しく生きたいじゃあないですか。いいことも悪いことも、困難もたくさんある人生ですが、それってゲームと同じじゃないですか?
 
 自分が特に身につけたいと思ったのは、困難なチャレンジに対する行動力です。失敗を恐れて行動できない自分を変えたかったのです。ゲームというのは、強いボスや難しいダンジョンなど、困難への挑戦の連続ですが、ゲームをプレイしているときはそれを楽しんでいるのです。だったらその時の考え方を人生にも応用すればいいのでは?
 
 そう思って「スーパーベターになろう!──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」」(ジェイン・マクゴニガル著,早川書房)を手に取りました。

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2 得られた気付き

 そもそもゲームというのは、いろんな障害を工夫して乗り越えながら進めていくものであり、そうであるからこそ乗り越えてクリアしたときに大きな達成感を得られるものです。また、障害を乗り越えるといっても、その挑戦を苦痛ではなく楽しみと感じられるのもゲームの特徴です。考えてみれば、敵、謎、ダンジョンなどの障害がまったくないゲームは工夫の余地もなく、きっととてもつまらないですよね。
 
 人生の困難は、いってみればクエスト。自分の行動を妨げる不安、恐怖、羞恥心などはいってみれば倒すべき悪者。自分を癒やしたり、力を増幅させたりするものは、いってみればアイテム。そう捉えてみると、なんだか挑戦するのが楽しくなってきます。
 
 自分の人生の目標に近づくために、日々小さなクエストを設定して乗り越えていきます。一つ一つのクエストは小さくて構いません。小さなクエストをクリアして、経験値を稼ぎながら、大きな目標に向かって進んでいくのです。
 
 困難への挑戦を妨げる悪者である自分の弱い心とは、戦いの毎日です。勝つこともあれば負けることもあります。闇雲に戦って負け続けるのでは面白くありません。たとえ負けるにしても、どの悪者にどんなコマンドが有効なのか、攻略法を探りながら戦うのです。こういう経験を積んでいく内に、自分の弱さへの対処法を学び、強くなっていくんです。
 
 ときにはアイテムを使うこともあります。自分を奮い立たせてくれる映画、マンガ、音楽、言葉、自分を癒やしてくれるリフレッシュ方法、食べ物など、アイテムはたくさん持っておきましょう。いざというときには惜しみなく使います。
 
 こんな風に考えてみると楽しそうではないですか?
 
 本書では他にも、仲間、秘密の招待、大勝利(エピックウィン)、スコアをつける等、人生をゲームフルに生きるための考え方が書かれています。こうした考え方をベースにして、自分の人生を積極的に楽しみながら生きてみてはどうでしょう?
 

3 TO DO

 この本を読んだ私は、毎日の行動計画を立てる時、達成すべきクエストを設定する、自分の役に立つアイテムのリストを作る、悪者図鑑を作って対処法を模索するということをやり始めました。
 
 もともと特に身につけたかったのは行動力ですが、クエストを少しずつ乗り越えることで経験を積んでいる感覚を得て、アイテムのリストを持っておくことでいざというときには使えるという安心感を得て、悪者図鑑を作って自分の弱さと向き合い、対処法を模索する決意をしたことで、いつかは勝てるという気持ちになり、行動を起こしやすくなると思います。たとえ負けても少しずつ攻略のヒントは得られることでしょう。