読書ノート014 Simple Rules

f:id:kempty:20210802131955j:plain
1 本書を手にとった動機

 組織のルール、自分個人のルール等、世の中にはたくさんのルールがあります。私は組織のルールを作る立場にはないので、特に自分個人のルールの方に関心があります。

 自分の行動や決断の基準のルールを明確にしておけば、感情に流されて誤った判断をしたり、悩まなくていいことをグダグダ悩んだりすることをなくせるのではないかと思います。例えば、インデックス投資などで長期目線で資産運用をするときは、短期的な株価の変動に一喜一憂せず、淡々とルール(毎月一定額の積立、定期的なリバランスなど)に従うのがいいと言われたりしますね。

 投資に限らず、日常の行動や判断における自分ルールを作る参考にしたいと思い、「SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える」を読んでみました。

2 得られた気付き

 タイトルの通り、本書の主張はルールはシンプルな方がいいというものです。例えば緊急時の医療現場で行われるトリアージは、シンプルで強力なルールの典型例です。傷病者を4つのカテゴリーに分類し、治療の優先順位を素早くつけることで、限られた医療資源で多くの命を救えるようになったのです。シンプルであれば、時間や情報が限られていても迅速で性格な決断が下せます。また、大人数でも混乱なくアクションが取れます。逆に複雑で難解なルールは把握しきれませんよね。

 シンプルな方がいいのはわかりますが、単純で簡単なルールを作りさえすればそれでいいということなのでしょうか?本書で言う「シンプル」というのは実はそういうことではありません。いくら単純でわかりやすいルールでも、状況に合わなかったり、誤った決断を引き起こすものであったら意味がありません。「シンプル」なルールというのは、無駄を削ぎ落として本質だけをうまく抽出した洗練されたルールなのです。ですから、「シンプル」なルールを作るのは簡単ではなく、時間もかかるのです。

 一般的に、最初期に作ったルールでは対応できない事象に直面することになることが少なくありません。そこで必要なルールを適宜追加していくことになりますが、そうすると徐々に複雑なルールができてきます。そのルールを運用し続けていく内に、だんだん無駄が見えてきます。そこで無駄を削ぎ落としていくのです。

 私の経験上、組織というのはルールを追加するよりも削除することが難しいのです。過去に意図を持って作られたはずのルールですから、どうしてもそれを削除することに慎重になりすぎてしまうのです。その結果、どんどんルールが増えてわかりづらくなっていきます。私も会社で、これ無駄じゃない?と思うルールに出会ったことは何度かあります。国の税金や年金の制度なんかも無駄に複雑な気がすることがあります。

 シンプルなルールを作るのは一朝一夕でできることではありません。何が無駄で何が本質なのかをしっかり見極めることと、無駄を削除する思い切りが必要なのです。

3 TO DO

 自分の行動や決断を効率的にするためにシンプルな自分ルールを作っていきたいところですが、なかなか簡単には行かないようです。ですから、PDCAサイクルを回して改善してくしかないと思います。とりあえず仮にでもルールを決めて、定期的に振り返って改善していきます。そのときに、ルールを複雑にして細かい事象に対応できるようにするのではなく、より本質的な洗練されたルールを作ることを心がけていきます。まずはやってみることです。トライアル&エラーです。